徳田秋聲作 「香奠を忘れる」 |
音声データ こちら | ||
収録時間 23分49秒 10.9MB | |||
昭和4年6月1日「週刊朝日」
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朗読 池川光子 | ||
更新 2012.3.2 | |||
【解説】 本作は昭和4年6月1日の「週刊朝日」に発表された作品である。作中のE子とは、秋聲の初恋の女性であった押田(旧姓長洲)於世野をモデルとしており、秋聲自身の若き日の彼女との馴染めから現在までの関わりを描いた作品である。於世野は秋聲が下宿していたお寺の次女で、知性的で気の強いところが若き秋聲をひきつけたのである。若き日の求婚の失敗から、ともに老いてからの気のおけぬ男女としての付き合いまでが甘美に辿られる。題名は、彼女の母の訃音が届きながら、忙しい生活に紛れて香典さえ送れずにいることを現しており、一人の思い出の女性との決別を現している。 |
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東海大学文学部 大木志門 |
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